悪い知らせの伝え方

SHAREというがんの意向に基づくコミュニケーション技術があります。これを知っていると患者さんに病状説明をするとき、自然と気持ちに配慮、共感しながら説明ができるようになります。

SHAREはSupportive Environment(支持的な場の設定)、How to deliver the bad news(悪い知らせを伝える)、Additonal information(付加的な情報)、Reassurance(安心感)、Emotional support(情緒的サポート)の頭文字をとっています。

まず準備は欠かせません。ポイントは重要な面談であることを伝えること、家族の同席について触れておくこと、他の医療者の同席を求めること、できれば今後も一緒に関わっていく看護師、薬剤師、栄養士などがベターです。場を準備しましょう。泣くこともあるでしょうからティッシュなどの準備も必要です。十分な時間をとっておきましょう。私は院内PHS切るわけにはいかないので誰かに預けておきます。Supportive Environment(支持的な場の設定)が大切です。

そして面談を始めます。

あいさつや、個人の関心事などで、気持ちを和らげましょう。私は「みなさんお集まりいただきありがとうございます。この待っている間不安でしたでしょう。すぐに面談できなくて申し訳ありません。」と話し始めることが多いです。オープン・クエスチョンで本人、家族の気がかりを知ることも大切です。経過を振り返り、病気に対する相手の意向や認識を知ることにも努めます。Reassurance(安心感)、Emotional support(情緒的サポート)が大切です。

そして悪い知らせを伝えます。心の準備ができる言葉かけをします。今から話すよと間をとることも効果的です。悪い知らせをわかりやすく、はっきり伝えましょう。悪い知らせは医師としてもストレスで、気をつけていても話すスピードが早くなり、患者、家族はわかりにくくなります。私は紙に書くことでスピードを落とすだけでなく、相手がより良く理解できるように工夫しています。「これまでの説明、理解できていますか?」と区切り区切りで患者の理解度を確認します。また質問を促すことも大切です。「ショックでしょう。大丈夫ですか?」と患者の気持ちを聞くことも必要です。患者、家族が感情を表に出しても受け入れてください。それは家庭医療専門医のスキルであるコミュニケーションのところで学ぶことができます。「驚かれましたよね」「パニックになっているでしょう」と悪い知らせによって生じた気持ちをいたわりましょう。How to deliver the bad news(悪い知らせを伝える)とReassurance(安心感)、Emotional support(情緒的サポート)が大切です。

次に今後のことを話し合います。標準的な治療を説明するのはもちろん相手の価値観に沿った治療法などを説明します。相手の価値観にそうために、家庭医療専門医のスキルであるbio-psycho-socialモデルアプローチを学びます。また日常生活、家事、仕事など生活面の影響についても説明・相談しましょう。利用できるサービスもきちんと説明し、患者、家族の不安を少しでも和らげるように努めます。そのためMSWが同席していると心強いですね。Additonal information(付加的な情報)が大切です。

そして面談をまとめます。

要点をまとめ、患者の理解を確認します。今後も一緒にがんばっていきましょうと気持ちを支える言葉をかけます。How to deliver the bad news(悪い知らせを伝える)とReassurance(安心感)、Emotional support(情緒的サポート)が大切です。

藤森麻衣子, 内富庸介

国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部

緩和医療学 9(2): 154-158, 2007.