家庭医療

徳島県での家庭医育成機関の一つ、徳島県立海部病院で6年間弱勤務した。

そこでは、各種専門医のサポートを受けながらさまざま疾患、環境の患者さんの主治医として医療をおこなってきた。ただ目の前にいる縁のある患者さんに真摯に対峙してきただけであったが、徳島県産の家庭医として初めての家庭医療専門医になることができた。患者さん、ご家族、地域が私を育ててくれたと本当に思い感謝している。海部病院にてただひたすら患者さんと向き合っただけだが、家庭医療専門医になることができた。それだけ家庭医という総合診療医を育てる土壌としては、素晴らしい環境であると実感している。今後、その良さをまとめていき、徳島県での家庭医療の進展に寄与できれば幸いである。

海部病院では救急から入院、そして外来、在宅と一貫して主治医として患者さんの人生に寄り添うことができる。そして、その一連の流れの中で、医療リソースの乏しい地域であるからこそ、地域で活躍する医師に期待される役割として、生活の中で「支える医療」を保障するために、医療と介護を束ねる役回りとなる。このことは、医療保険、介護保険として提供されるサービスはもちろんですが、それだけに留まらず、家族に加え、行政、インフォーマルサービスをも巻き込む形で進めていくことが必要なケースが多い。

また患者さんは高齢の方々が多く、老年症候群や多問題家族のように、複数の疾患や多角的な課題・条件を併せ持っているいことから、複雑な配慮や対応を要する場合も少なからずある。結果として、医療を提供する内容も、医師、看護師のみならず、薬剤師、リハビリ専門職種、歯科医師、管理栄養士など数多くの専門職種との連携が必要になることがある。

そして救急から入院、そして外来、在宅の流れの中で、在宅医療の主治医となれるのも、家庭医を育つことのできる素晴らしい環境であると言える。患者さんを全人的にとらえ、疾患の分け隔てなく、置かれた脈絡にふさわしい医療を提供することは、生活の場を診療の場とすることによって、社会背景や経済事情、家族力学などなど、入手できる情報量が圧倒的に増えるという点が、患者さんに向き合うことで家庭医として成長を促す。本人らしい生活を無視して医学的に正しい医療を提供すればそれでいいと短絡することはできず、何より尊厳を重視し、家庭や地域をも視野に入れてアプローチする必要がでてくる。

在宅では、病態解明が十分にできない場合や、手術や医療処置を安全、的確に遂行する必要がある場面などでは、病院との連携も重要となる。そこで入院が必要と判断した患者さんは、海部病院に入院し、そこでも主治医ができることは、医師としてのプロフェッショナリズムの成長を予想できるであろう。もちろんなじみの関係や環境変化のリスクも無視できないことから、リロケーションダメージに配慮しつつ、目的を明確にして連携する必要があり、入院後も患者さんをみられることは、省察的実践が常に促される環境であると言える。

徳島大学総合診療医学分野と連携し、寄りよい家庭医を育てていく環境を作り続けていきたい。

田畑 良

 

徳島県立海部病院基幹型プログラム「南阿波総合医家庭医プログラム」

http://www.tokushimaprimarycare.org/